デジタルで線画を綺麗に引くのって難しいですよね。アナログだと鉛筆などで柔らかい表現ができるので、多少線画の線が揺れていてもなんとなくいい感じになります。スタジオジブリが線画作業を鉛筆で行っているのは有名な話ですよね。しかしデジタル線画は一本の線で勝負するので難しい…。
デジタル線画も覚えるとかなり効率よく引くことができるようになります。今回は線画が苦手な人必見の、綺麗に線画が引けるようになる描き方の方法を伝授していきます。
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デジタル線画の描き方のコツ1:線の太さ
線画作業を綺麗にするには線の太さがもっとも重要だと思います。線の太さによって綺麗に見えるか見えないかが変わるので、線の太さ調整は重要です。
そして、特に重要なのは線の太さは用紙のサイズに合わせるということです。線画の太さを8とか10にしても、用紙の大きさによって変わってしまうので用紙に合わせて線画の太さを調整しなければいけません。でも一体用紙ってなんのサイズを使えばいいのでしょうか?みんながどんな用紙のサイズで描いているのかも気になりますよね?
いろんな人の動画を見てると、クリスタの場合8あたりで描いている人が多い気がします。用紙のサイズもB5かA4が多いです。B5からA4までのサイズで描くなら8から12くらい、A4あたりだと8前後がいい感じです。A6まで行くと6前後がいい感じな気がします。
人によっても違いますが、この辺りのを探りながら、理想的なイラストがどれくらいの太さの線画を使っているのか観察してみるのがおすすめです。ペンの種類によっても違いますが、個人的にはB4・B5とかでGペン・鉛筆で8前後で、上限は12あたりの太さで描いています。
線画のタッチや描き方でも変わりますが、なんとなく参考になりますでしょうかね?
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デジタル線画の描き方のコツ2:ペンの種類
線画を綺麗にするにはペンの種類もとっても重要です。作家さんによってペンはいろんなものが使われていますが、個人的におすすめなのは鉛筆と丸ペンです。しかし部分によっては目だけカブラペンで描いたり、Gペンをカスタムして使っている作家さんもいるのでおすすめしても結局その人の作品に関係するのでなんとも言えません。
しかし初心者の人で何を使っていいのかわからず、とりあえず使いやすいものはないかな?と言うならGペン以外なら鉛筆、丸ペンがおすすめです!
鉛筆はアナログっぽい自然な線画が描ける上に、デジタルらしいしっかりとした線も表現できます。丸ペンはGペンよりも柔らかいので、細かい部分を整えるのに最適です。鉛筆で線画作業を進めていき、丸ペンで細かいところを整えていくという感じです。この二つのペンを使うとこんな感じの線画になります。
鉛筆の方が色が薄くて、Gペンの方が色が濃いのがわかるでしょうか?この色の濃さも考えて選ぶのがおすすめです。塗りの色と馴染みやすくしたいなら鉛筆を使い、塗りの色との境界を作ったりパキパキした感じにしたいならGペンがおすすめです。またGペンはまつ毛などの「シュッ」とした描写が得意なので、インクの筆らしい跳ねを表現したい時に使うのもいいですね!
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デジタル線画の描き方のコツ3:アセッツのカスタムペンを使う
クリスタなどのオリジナルのペンでも十分使えますが、アセッツからブラシ素材を持ってくるのもおすすめです。アセッツはクリスタの公式素材サイトです。自分で作れないことはないですが、最初はどんなものが線画に使いやすいか知ることができるので、ダウンロードしてみるのをおすすめします。無料ですからね!
ダウンロードの仕方は簡単。アセットはクリスタの左上の画面のメニューから「CLIP STUDIO PAINT」をクリック。タブメニューに「CLIP STUDIO」とあるのでそちらをクリックするとサイトが出てきます。
ちなみに検索でも出てきますね!
クリップスタジオアセッツを開いたら、ログインしてさっそく検索窓からブラシを検索していきます。クリスタのメニュー「CLIP STUDIO」から表示した場合は「素材をさがす」をクリック!
左のメニューをクリックすると右にこのように表示されます。検索窓の下に無料素材などが出てきます。この検索窓から「線画」と検索します。人気順を表示するのがおすすめです。
検索するとたくさんの線画ペンが出てきます。どれもクオリティが高いのでおすすめです。クリスタを使用している有志達が作ったペンを、無料かCLLIPY(クリスタのポイント)を使ってダウンロードすることができます。
こうしたカスタムペンを使うと線画が自然に仕上がるし、線も引きやすくなるので便利です。線画の仕上がりが一気に変わるので、最初に発見した時は驚きました笑
線画に使えるおすすめのペンは?
クリスタのアセッツからダウンロードできる線画用のペンを少しご紹介しておきます。
線画用ペン
クリスタのアセッツはクリスタの公式が出しているペンと、個人の方や作家さんが出しているペンがダウンロードできます。
この線画用ペンはimo86さんが作成されたペンです。
フチがギザギザ(アンチエイリアス)がかかっているのがわかるでしょうか?
これがあると引きで見た時に、線が自然に見えます。
ギザギザがない場合はデジタルらしいパキッとした、それはそれで良い印象なのですが、ギザギザがある方がアナログの雰囲気も表現でき、最近はこちらが好まれていると思います。
やわ肌ブラシ
ちなみにクリスタは線画だけでなく、塗りにも使えるペンがあります。
こちらは「やわ肌ブラシ」です。スプレーのように柔らかく繊細な肌塗りをすることができるので使っています。
クリスタでおすすめのブラシ!線画と塗りや背景に使える30選!
前回、こちらの記事にまとめましたので、必要ならお暇な時にご覧ください。
そもそもCLIP STUDIO PAINTを使うには?
クリスタのペンはソフトを持っている人なら誰でも使うことができます。現在でているソフトは2種類です。料金設定も変わったので軽く紹介しておきます。
クリップスタジオ PRO
料金が5000円で、一度ダウンロードしたら何度も使うことができます。
クリスタはPROとEXのどちらでもイラスト・漫画制作・アニメーションができますが、PROはイラストに特化しています。漫画制作とアニメーションは長尺や長編を作るならEXの方が便利です。
2020年から月額利用プランができました。短期間だけ使うのに便利になりましたね!
料金:¥5000
公式サイト:CLIP STUDIO PAINT PRO
クリップスタジオ EX
こちらはイラストも漫画もアニメーションも、全てに対応しています。
詳しく説明すると、漫画制作は複数ページ管理やセリフ入れが楽になり、アニメは長尺が作れます。
こちらも月額利用プランがあります。EXを使ってみたいという方に考える余地が増えて便利になりましたね!
料金:¥23,000
公式サイト:CLIP STUDIO PAINT EX
デジタル線画の描き方のコツ4:手ぶれ補正
線画を綺麗に描くなら手ぶれ補正機能を使うのがおすすめです。手ぶれ補正なら長いストロークを綺麗に引くことができます。使い方を実際に見ていきましょう。
用紙のサイズ1000×1000でGペンのサイズ3くらいなら、肩などの細かいところを描く短いストロークなら、手ぶれ補正を上図のように5以下くらいにするのがいいです。
長いストロークならこのように5以上の設定にすると安定してストロークが綺麗にできます。画面を拡大した時、手ぶれ補正を入れたままにしているとかなり線を引きづらいので、髪の毛や縦に伸びる長いストロークの線画をする時は画面を話して引くといいです。
追記ですが、手振れ補正の数値は用紙のサイズとペンの太さにもよります。用紙が大きい時は手振れ補正を大きく、用紙が小さい時は手振れ補正も小さく。また、ペンの太さが大きい時は手振れ補正は大きく、ペンの太さが小さい時は小さくと行った感じになると思います。そのまんまですねw
このように設定するのとしないのとでは線画の綺麗さがかなり違いますね!試してみてください!
デジタル線画の描き方のコツ5:下書き
線画を綺麗にするなら、やっぱり初期段階の下書きを綺麗に描くのがおすすめです。下書きを全てデジタルで行うのもいいですが、髪と鉛筆を使ってアナログで下書きを描き、そこからデジタルで線画作業をするのがおすすめです。初心者はデジタルの下書きは描き方が難しいのですし。
デジタルで一貫するのも時短でいいですが、アニメーションの現場などを見るとやはり下書きは紙と鉛筆を使っていることが多い気がします。紙と鉛筆を使って入念に下書きを描けば、より柔らかく仕上がりのいい完成度の高い下書きが描けます。下書きが綺麗に描けることが線画の綺麗さにつながるので、やはり下書きはとっても重要です。
もちろんデジタルに慣れている人はデジタルでもいいと思います。しかしこれから線画を練習していこうとする人はアナログのデッサンも一緒に練習していくのがおすすめです!アナログありきですしね!デジタルはやはり!
アナログで下書きして線画に起こす
ちなみにアナログで下書きしても、デジタル線画にするのは実はとっても簡単です。
下書きをスキャンしたら画像を「レイヤー」から「ラスタライズ」し、「編集」の「サイドを透明度に変換」します。これで下書きの背景が透明にするんですね!詳しくは「あたりは太い鉛筆で描いた方がいい?イラスト制作のための鉛筆の選び方!」の記事で以前紹介したので、参考にしてみて欲しいです。
こうすれば下書きの線画のまま背景が透明になるので、そのまま下書きの線画を使って色の試し塗りを行ってもいいですね。
それで、ここからデジタルで線画にするなら下書きの線画の色をブルーにしておくと黒の線画が書きやすいです。
下書きがブルーだと黒のペンで描いた時に見えやすいので便利です。ちょっとしたことだけど線画が見えやすくなるので線画を描いていて楽しくなります。
ブルーにできたらレイヤーの透明度を下げて線画をしていけばオッケーです。これでさらに線画がしやすくなりましたね!
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デジタル線画の描き方のコツ6:下書きの線を選ぶ
デジタル線画を綺麗に描く描き方はまだまだあります。
さらに下書きで描いた線を選ぶのも重要です。鉛筆などで下書きした線は、たくさんの線で重なっていますよね。それを線画作業する時には一本に選ばなくてはいけません。その時、下書きの線をそのままなぞるのではなく、下書きの線は下書きの線として考え、新たに新しいイラストを描くつもりで線画をしていきましょう!
そしてその際は下書きの画像を少し縮小してから透明度を下げるのがおすすめです。ウェブデザインなどでよく使われる手法ですが、基本的に画像やイラストをPhotoshopなどで作る時はあらかじめ少し大きめのサイズで作り、完成した時に縮小したりします。小さくすると綺麗に見えるんですね。
こんな感じ。線画しやすそうじゃないですか?
縮小した方が下書きの塗り重ねたまばらな線が安定し、デジタルで線画をする時に線を選びやすくなりますね。これもすぐに試せる技術です!
下書きはいつも綺麗に見える
さて、下書きで描いた時はうまくいったのに、デジタル線画に直したら下手に見える。と言うことはよくありませんか?実はこれはプロでも同じで、線画作業のあるあるです。
なぜこういうことが起こるのかというと、鉛筆の下書きの勢いがデジタルの線画にするとなくなってしまうからです。ジブリなどはアニメーションを作る時鉛筆で描いた線画を使っているのはこうした理由かららしいです。鉛筆で描いたものの方が綺麗に柔らかく見えるので、仕上がりが安定し、初めて描いた時の勢いが残るんです。
難しくいうと、下書きは鉛筆のデッサンでなんども塗り重ねているので、抽象度が高くなり、うまく描けているように見えるのです。
下書きをそのままスキャンしたものですが、拡大すると結構線が太いですよね。基本的に下書きは太い鉛筆で描いた方が綺麗にバランスよく見えるので、濃い太い鉛筆を使っている作家さんは多いようです。シャーペンで描く人もいますが、濃い目の鉛筆を使って描くと線が安定し、全体のバランスを取りやすいのでおすすめです。
しかしそれをそのままスキャンしてデジタルにすると、その勢いが失われて貧弱なイラストになってしまいます。一本の線にすることによって具体的になり、下書きの情報が少なくなってしまうので勢いがなくなった感じになってしまうのです。
なのでデジタル線画をするときは下書きの線は無視して、新たに新しい線を新しい勢いで描かなければいけないのです。下書きは下書きで、下書きを再現するのではなく、下書きを参考に新しいイラストを描くつもりで描くといいですね!
下書きからデジタル線画を描く時の描き方のポイント
その時の描き方のポイントなのですが、デジタルの線を描く時は透明度をぐっと下げておいた方がいいです。下書きの線画濃く見えているとそれに頼ってしまいます。透明度を30%以下くらいに設定して、清書の線画をしていきましょう。
左が60%の透明度で線画行った時で、右が30%の透明度で線画を行った時です。透明度が60%の時は下書きに頼って線画を行っていると言う感覚ですが、透明度を30%までに下げた時は新たにイラストを描いていると言う感覚があります。
経験上透明度を30%まで下げて新たに描き直すつもりで描いて練習していった方が、最初は慣れるまで大変ですが、線画作業が格段にうまくなります。きつい作業ですが、慣れると後で全体のバランスを整える必要もなくなるので時短にもつながるおすすめの方法です!
デジタル線画の描き方のコツ7:黒ベタを入れる
デジタルの線画をするなら黒ベタは欠かせません。黒ベタをうまく使うと線画か立体的に綺麗に見えます。逆に何もなしだと線画はあまり綺麗に見えません。うまく形が取れていても、黒ベタを使わないと貧弱な線画になってしまい、「うまく描けなかったなー」と諦めてしまうこともしばしば。しかし「ちょっとまった」です。黒ベタすることで完成度は格段に上がります。
丸で囲ったところが黒ベタポイントです。まだまだ黒ベタにすべきところはたくさんあるのですが、後で塗りの時にも付け加えたりするので、線画作業の時にさっと入れておくのがおすすめです。黒ベタは多少的外れのところに入れても線画の強弱を表現することができるので、思い切って試し試しいろんなところに入れてみましょう。作家によってどこに入れているのか研究するのもおすすめです。
デジタル線画の描き方のコツ8:強弱を入れる
同じ線の太さで描かないのがコツの一つです。
影になるところを黒く塗りつぶしたり、強弱を入れて描くといいです。
このように毛先の線を細く伸ばすのも、線を綺麗に見せるコツです。
線の細い部分と、線の太い部分があることによって、全体的に強弱のある線画の印象を与えることができます。
これも線画のよくある基本的な描き方の一つです。
デジタル線画の描き方のコツ9:色を選ぶ
意外と知らない方も多いのではないでしょうか。線画の色は別に黒でなくてもいいのです。漫画の原稿などをデジタルで仕上げるなら印刷の関係で黒を使わなければいけませんが、イラストなどを制作するなら黒でなくてもいいのです。
例えば黒でなく肌に近い茶色などを使って線画をすると、リアリティのある表現ができます。いろんな作家さんの作品を見てみるとわかるのですが、意外と黒で線画をしている人ばかりではありません。線画が際立ってしまうと黒のリアリティがなくなってしまう場合があるので、線画の色は肌に近い茶色や赤系の色などを選ぶといいでしょう。
個人的にはいつも上記のような色を選んでいます。本にそう書いてあったし、Pixivでいろんな人の線の色をスポイトで取ると赤系が多かったのでそうしてます。でもイラストが完成した時に全体で線画が浮いていたら薄くしたり、アニメやポップなイラストにしたかったら黒にしたりもします。作品の雰囲気によってオリジナルでいいと思います!
こうしたテクニックも線画を綺麗に見せる描き方のポイントの一つです。
まとめ
すぐに試せる技もあったので、線画の描き方や完成度に迷っていたらこうしたテクニックを一つ一つ研究して身につけてみて欲しいです。線画がうまくならないと塗りに行くのも嫌になってしまうので、乗り越えたい一つの壁でもあります。デッサンの質を向上させるとともに、こうした線画の基礎テクニックを身につけて練習してみてくださいね!
こっちにも少しまとめましたので、参考にしてみてください^^